だが、2022年に外交部が公開した文書によると、当時の外交部の李相徳(イ・サンドク)北東アジア局長は、挺対協の尹美香(ユン・ミヒャン)代表(当時、現国会議員)に2015年3月から12月までの間に計4回面談し、交渉の経緯、合意内容を説明していた。特に合意の前日には合意内容を詳細に説明していた。つまり、事前に尹美香氏は日韓合意の内容を知っていたのだ。
それなのに、尹美香代表はその内容を元慰安婦と共有していなかった。そして日韓合意の内容が公表された後に、さもその内容を事前に知らされていなかったふりをして反対、この合意が最終的な解決とはならないよう画策したのである。
慰安婦問題解決は尹美香にとって好ましくない結末
なぜそのような姑息な手段までとって慰安婦問題の前進に反対するのか。それは日韓で慰安婦問題が解決することが、尹美香議員にとって利益とはならないからだ。日韓間の対立が続けば慰安婦を利用した政治活動も継続でき、政府の補助金を得ることができる。また、正義連は北朝鮮の工作機関と連携していると指摘されている。日韓関係がぎくしゃくすることは、北朝鮮にとっても利益となるのだ。
その尹美香議員はいま絶体絶命の瀬戸際に立たされている。
1月6日、ソウル西部地裁において、検察は尹美香議員に対し正義連後援資金を私的に流用した容疑で懲役5年を求刑した。検察は「長い年月の間、苦痛を受けたおばさんたちのために市民が少しずつ募金した資金を自分の小遣いのように使用し、挺対協の資金をあたかも個人事業家のように使う過程で横領の犯行をした」と指摘した。
被告の尹議員は管轄庁に登録することなく2015年から19年に団体の口座で計41億ウォンの寄付を受け、元慰安婦の葬儀費や戦時性暴行被害者支援などの名目で1億7000万ウォン(約1800万円)の寄付金を個人の口座で募金した疑いで在宅起訴された。また、2011~20年に個人口座で募金した元慰安婦の葬儀費1億ウォンを私的用途に使った業務上横領容疑と、2013~2020年に政府とソウル市からの補助金を不当に受領した補助金法違反の容疑もある。