挺対協の活動は、寄付金と政府からの補助金で賄われている。そうした資金を獲得するためにも、水曜集会のような先鋭的な活動を通してその存在をアピールする必要があったのかも知れない。そうしていつしか、元慰安婦たちの代表然として振る舞うようになった。
2011年12月14日、正義連は水曜集会1000回を記念し、日本大使館前の公道に無許可で慰安婦像を建てるという暴挙に出る。この慰安婦像については、撤去を求める日本政府とこれを黙認する韓国政府との間で外交問題に発展した。
その水曜集会も、2020年5月、大きな逆風に晒された。元慰安婦でそのシンボル的存在である李容洙(イ・ヨンス)氏が突如、「支援団体のこれまでの活動は金銭的政治的利益のために慰安婦を利用しており、寄付金の使途も不明で、憎悪だけ招く集会には、もう参加しない」と宣言し、参加を取りやめたのだ。これで一気に正義連に対する世間の目は厳しいものとなったが、水曜集会はその後も開催され続けている。寄付金を募り補助金を受給するためにはこの活動が不可欠なのだろう。
それでも集会参加者は徐々に減少している。抗議の内容も慰安婦問題ばかりでなく、反日、反米の主張、検察や保守メディアへの攻撃などが多く占めるようになっており、集会の本質が変化している。
元慰安婦を裏切り、政府を欺いた尹美香氏
正義連の日韓関係妨害活動は水曜集会だけではない。
1995年、日本の村山富市首相率いる社会党政権は「女性のためのアジア平和国民基金(略称:アジア女性基金)」を設立、慰安婦個々人に「償い金」を受け取るよう促した。この時、当時の挺対協は「基金は日本政府の拠出ではなく国民の寄付をもとに作られるもので、これは日本政府の責任をあいまいにするものである」と批判し、元慰安婦たちに償い金の受け取りを拒否させた。そして挺対協の指示に従わずにお金を受け取った慰安婦に対しては「自ら進んでいった売春婦であると認めたもの」と理不尽な非難を行った。
またこの時、挺対協を窓口として韓国政府からも元慰安婦へ償い金の支給があったのだが、アジア女性基金から償い金を受け取った元慰安婦にはこれを支給しなかった。
2015年、慰安婦問題に関し日韓で新たな合意ができた。ここでも挺対協は合意内容に反発した。慰安婦のために韓国政府が設立し、日本政府が資金を拠出した「和解・癒し財団」から、補償金を受け取ることを妨害した。