大陸間弾道ミサイル(ICBM)発射場に金正恩氏と現れた娘(写真:ZUMA Press/アフロ)

(李 泰炅:北送在日同胞協会会長、脱北医師)

 2023年1月1日のニュースで、北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)総書記がミサイル組立工場に、娘の金ジュエ氏とともに姿を見せたことが報道された。朝鮮労働党機関誌「労働新聞」と北朝鮮のラジオ放送局・朝鮮中央放送に次女との同行を公開したのは、これが3回目になる。

 昨年の11月19日、金正恩氏が大陸間弾道ミサイル(ICBM)発射場に10歳の娘を引き連れて姿を見せた時、私は本当に驚いたし、世界中からも注目を浴びた。同29日には、弾道ミサイル「火星17」の試験発射に成功したメンバーらとともに記念写真に収まっている。最高指導者の肩にしがみついて甘える娘と、金正恩氏の満面の笑みは、典型的な父性愛そのものであった。

 内外のメディアは、北朝鮮の慢性的となったミサイル発射より子供っぽい次女の登場に関心を注ぎ、多くの推論を報じた。

 私は在日朝鮮人・韓国人の帰還事業で幼少期に親と北朝鮮に渡り、北朝鮮では平壌近郊の病院で病院長を務め、その後に脱北した在日韓国人2世である。45年間、北朝鮮で暮らし、今は大韓民国で暮らす在日韓国人脱北者として見解を述べてみたい。

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