文在寅氏の宥和政策は大きな負の遺産を残した。金正恩は笑いが止まらないに違いない(Tibor Janosi MozesによるPixabayからの画像)

1.偵察衛星開発と無人機ソウル侵入の関連

 2023年の1月1日の朝鮮労働党の会議で「偵察衛星を最短期間で打ち上げる」ことが報告された。

 だが、十分な実績もない北朝鮮(北)が、偵察衛星の打ち上げで必要な機能を備えられるのか、多くの疑問がある。

 偵察衛星について、北の朝鮮中央通信によると、「12月18日に偵察衛星に関する“重要な最終段階”の実験を実施した、そして、今年4月までに偵察衛星1号機の準備(打ち上げのことか?)を完了させる」という。

 偵察衛星の開発は米国と同盟国の軍事行動に関する情報をリアルタイムで収集するためだとしている。

 北が偵察衛星の準備を完了させると言っているさなかの12月26日、偵察用とみられる無人機5機が軍事境界線を越えて韓国領内に侵入した。

 そのうちの1機がソウル市上空まで侵入した。残りの4機は、西岸の江華島(カンファド)上空を飛行した。

12月26日に韓国に侵犯した無人機の航跡

出典:韓国国防委員会12月28日公表

(図が正しく表示されない場合にはオリジナルサイト=https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/73360でお読みください)

 12月に打ち上げた偵察衛星の実験で公開した写真は、解像度が極めて低く、20~100メートルほどだった。

 商業用のグーグルアースの写真よりもはるかに悪い解像度なのは、誰が見ても分かる。北自らが解像度は20メートルと言っていた。

 これでは、軍事情報を収集することは不可能だと思う。1970~1980年代の資源探査衛星レベルだ。

 そう簡単に高解像度の偵察衛星の打ち上げに成功しないだろうと予想されるときに、無人機がソウルに侵入した。

 直感的に、「無人機が撮影した写真を、偵察衛星1号が撮影した写真」と発表するのではないかと疑いたくなった。