「単線」を生かす再活用例
加藤氏:線路はサイクリングロードとして再活用されることが多いです。赤字ローカル線の大半は単線で、道路に転用しても自動車が通れるほど広くないためです。自転車道であれば追加で用地を買収することなく整備できるため、最も簡単なのです。
鉄道廃線は昭和の時代からあることなので、旧線路を活用した自転車道は全国いたるところに存在しています。私の出身地の岐阜県多治見市でも、廃線跡が自転車道になりました。
駅はそのまま駅舎や土地を活用してバスターミナルにすることがあります。石川県の旧輪島駅のように、バスターミナルを兼ねた道の駅として再整備されたケースもあります。
鉄道駅にせよバスターミナルにせよ、たくさんの人が集まれるような魅力的な場所にしていくことがとても大事です。ただ、駅が主要道路から外れたところにある場合はバスの所要時間が余計にかかってしまうため、駅が活用されないことも多く見られます。
一部の事例では、線路敷をバス専用道として活用する場合があります。これだと駅がそのまま活用できます。他の車や信号などの影響を受けず速く走れる可能性がありますが、専用道や駅舎を維持するのにお金がかかりますし、踏切を鉄道と同じようにバス優先にすることが容易でないのが問題です。
また、駅は集落や行先施設から必ずしも近い位置にないので、線路敷を活用するよりも、集落の中や施設の玄関前にバス停を置き一般道を走る方が有利になる場合も多く見られます。どちらがいいかよく検討することが大事です。