(国際ジャーナリスト・木村正人)
中国各地でゼロコロナ政策に反対する抗議デモが続発したことを受け、行動制限を緩和した中国の習近平国家主席が感染の急拡大に苦しめられている。英国の医療系調査会社エアフィニティは「現在、われわれのモデルでは1日当たりの感染者が100万人、死者は5000人を超えている恐れがある」との推計を12月21日に発表した。
直近の1週間で感染者数は1800人、死者はわずか7人(そのあと1人削除)という中国の“大本営発表”とは非常に大きな開きがある。エアフィニティのモデルでは新年1月に最初のピークを迎え、1日当たりの感染者は北京や広東省を中心に370万人、第二のピークとなる同年3月には他の地域にも広がり420万人に達すると予測している。
エアフィニティのワクチン・疫学部長ルイーズ・ブレア博士はこう指摘している。「中国は集団検査を中止するとともに、無症状の感染者を報告しなくなっている。この組み合わせは公式データが中国全土で発生している感染の流行を正確に反映しているとは考えにくいことを意味している」
「中国はコロナ死者数の記録方式も変更し、陽性反応後に呼吸不全または肺炎で死亡した人のみを記録するようになった。これは陽性反応から一定期間内の死亡や、死因がコロナに起因していた場合にカウントする他の国の方式とは異なる。この変更により中国で報告される死者数の程度が過小評価されてしまう恐れがある」(ブレア博士)
「ゼロコロナ政策終了なら130万~210万人死亡」
英国家統計局(ONS)のデータから年齢、基礎疾患別の死者を見てみよう。年齢層別のコロナ死者の割合は85歳以上が40%、75~84歳が29%、65~74歳が17%、55~64歳が9%、45~54歳が4%、25~44歳が2%となっている。新型コロナウイルスが変異して弱毒化しても、基礎疾患を持っていることが多い高齢者の死亡率がずば抜けて高いことが分かる。