世界の複雑さを単純化せず複雑なまま書く
『語学の天才まで1億光年』で書かれているのは、辺境の地でのマニアックな語学学習の話だ。ほとんどの人には、リンガラ語やワ語を話す機会が訪れることはないだろう。しかし、語学習得という終わりのないこの冒険譚は、読めば読むほど、語学へのハードルを下げてくれる。世界の広さと複雑さ、多様さに改めて驚き、憧れ、「知りたい」と思わせる。そして不思議と、語学が学びたくなる。
「世界は複雑です。今回は、その複雑さを複雑なままに、かつ、面白くわかりやすく伝えるというのが自分の中のテーマでした。単純化させればわかりやすくはなるんですが、そうするとどんどん抽象的になっていく。現地らしい雰囲気も失われていくんです。それでは面白くない。リアリティは細部、ディテールに宿っているんですから」
実際、「この本を読んでスペイン語を学び始めた」という人がたくさんいるという。
「マスターするとか、正しく使うとか、そういう束縛から逃れさえすれば、何歳からでも、どうやってでも、語学は習得できるんです」
目の前に広がる語学の宇宙へ、いざ、漕ぎ出そう!