(郭 文完:大韓フィルム映画製作社代表)
北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)総書記は10月23日、中国共産党第20回全国代表大会(党大会)で、総書記3期目の続投が決定した習近平国家主席に祝電を送った。
祝電で金正恩氏は、「私は習近平総書記同志とともに時代的要求に応じて、中朝関係のより美しい未来を設計し、その実現を領導して、両国における社会主義の偉業を強力に推進する」と述べた。
長い歴史と伝統のある血盟ともいえる中朝関係を強調したのだ。
しかし今、北朝鮮住民の間では、いつにもまして中国に対する反感が高まっている。中国が果たして自分たちの同盟国なのかという議論だけでなく、北朝鮮貿易商の中からは「中国は同盟なのか、泥棒なのか」という言葉まで飛び出しているから穏当ではない。
中朝関係にいったい何が起きているのだろうか。
コロナによって行き詰った中朝貿易が再開されたのは、今年8月頃からだ。2年を超えるコロナ封鎖に耐えられなくなった北朝鮮が中朝貿易の再開を中国側に積極的に要求し、輸出の道が開かれるようになった。
そして、北朝鮮は主力商品である石炭の輸出を大々的に開始した。北韓産石炭を喉から手が出るほど欲しがっていた中国の石炭輸入業者も、待ってましたとばかりに北韓産石炭を買い漁り始めた。
ところが、北韓産石炭1t当たりの価格は8月で100ドルを上回る程度と低調に推移している。これは、比較的安い価格で輸出されているインドネシア産石炭の3分の1にすぎない。
北韓産石炭は1kg当たり6000カロリー以上の高品質であり、低練炭であるインドネシア産石炭に比べても優れている。それなのに、インドネシア産石炭が1トン当たり331ドルで取引されているのに対して、北韓産石炭は1トン当たり100ドルという安値である。
さらに、今年の10月には1トン当たり40~50ドルでも取引されない状況が発生した。たった2カ月で、北韓産石炭の価格が半額以下に落ちてしまったのだ。
その理由は、中国の石炭輸入業者の横暴である。