敷地奥から見た外観もかっこいい!

 北西側から見た外観。こんな形だったのか。正面よりもこっちの方がダイナミックだ。

 和田さんが「ピヨッとした形の屋根」と言っていたのは、折板構造の上に切妻の屋根を無理なく着地させるためだったわけだ。

 この建築、1956年竣工なので当然、旧耐震の時代だが、耐震診断を行ったところ、大きな補強はほぼ必要がなかったという。

 西側にそびえる塔屋の周りを見ると、レーモンドがこの建築で正方形グリッドをデザインテーマに据えていたことがよくわかる。正方形は磯崎新氏の十八番と思っていたが、レーモンドもさすがのうまさだ。

「作品集に載っていない」ということは「本人が納得いかない出来だった」と考えがちだが、どうもこの建築には載せない理由が別にあった気がする。レーモンド作品として、何らおかしくないクオリティーだ。これからレーモンドを研究する人は、レーモンド史に堂々と加えてほしい。