高速運転の実施は魅力的だとしても、高いコストに見合うだけの輸送需要がないのであれば、巨大な赤字を生んでしまう可能性もある。それでは、仮に赤字が生まれたときに負担するのは誰なのか。

 この議論が十分になされないままに、全国への新幹線の建設が続けられた。その立ち位置は、日本がまだ好景気の中にあった昭和40年代から何も変わっていないように見受けられる。

枠組みを一から見直すべき時期

 時代が21世紀を迎えたいま、日本の新幹線の整備計画は曲がり角に差し掛かっているように思える。

 なるほど新幹線は北海道から九州までをカバーする広大なネットワークを構築し、鉄道を近代的な姿に変えた。

 今は新幹線が2時間30分で結ぶ東京と大阪の間を、在来線特急は6時間をかけて走っていた。新幹線なら2時間59分で到着する東京~青森間を、在来線の特急は8時間20分をかけて結んでいた。

 もしも新幹線が生まれていなかったのなら、鉄道が完全に時代遅れの乗り物となっていた可能性は高い。