争点にすらならないウクライナ問題に、中間選挙後のアメリカはどう対応するのか。共和党が勝てば、下院議長になると見られているマッカーシー院内総務は、「アメリカ国民がウクライナに白紙の小切手を切ることはない」と強調している。

 バイデン政権は、昨年1月の発足以来、189億ドル(約2兆7500億円)超の軍事支援をウクライナに供与してきた。このことに対する共和党下院の不満を表明したものである。

バイデン息子の「ウクライナ疑惑」が蒸し返される可能性

 さらには、オバマ政権のときに副大統領のバイデンが息子とともにウクライナ利権に深く関わっていたという疑惑がある。息子のハンターが、2014年にウクライナのガス企業ブリマスの幹部に就任したが、この企業は検察の捜査を回避するために裏金を使ったという不正疑惑がある。2020年10月、米議会上院は、この件について「利益相反の疑いがある」という報告書をまとめている。

 下院や上院で共和党が多数を制すれば、この件が蒸し返され、バイデンとウクライナの「闇の関係」が議会で追及される可能性がある。そうなれば、バイデン政権のウクライナ支援にもブレーキがかかるかもしれない。

 民主党は、ロシアがトランプを支援するために背後でサイバー攻撃など様々な手を使ってきたと批判した。その報復として、今度は共和党がバイデンのウクライナ利権を追及するということである。

 ロシアもウクライナもアメリカの内政の泥仕合の中でしかクローズアップされないのである。