相容れない思想の争い

 中国と西側の対立は、何にも増して、相容れない思想同士の争いだ。

 西側諸国の政府は、人々が自分の運命を選べるようにすることが成功につながると考えている。

 片や中国の統治者たちは、個人は自由やプライバシー、尊厳をより大きな大義のために捧げなければならず、その大きな大義が何であるかは共産党が決めると考えている。

 習氏はこの考え方の過激なものを信奉している。それが最近、あまりうまくいっていない。

「共同富裕」という曖昧な旗印のもと、経済の国家管理を改めて主張し、中国で最も成功している企業数社の足を引っ張った。

 不動産市場を制御する計画は完全に頓挫しており、不良債権が景気に危険なほど重くのしかかっている。

 ゼロコロナ政策も差し迫った問題になっている。

 中国のほとんどの地域からウイルスを排除しようと、当局は小規模な感染拡大にも厳格なロックダウン(都市封鎖)を広範囲に導入した。

 当初はそのおかげで多くの命が救われたものの、今では国内総生産(GDP)をさらに押し下げる要因になっている。うんざりした国民はルールを無視し始めた。

再興の悲劇

 習氏が共産党の最高指導者に就任した2012年は、中国が急速に変わっていた。

 中間層が拡大し、民間企業は好況に沸き、市民はソーシャルメディアでつながっていた。

 違う人物が最高指導者になっていたら、こうした状況を良い機会だと見なしたかもしれない。

 習氏は脅威としか考えなかった。

 国内では、共産党支配を再興するためのアメとムチになるハイテク装置を組み立てている。国外では、米国主導の秩序に挑戦している。

 世界はこの挑戦に抗うべきだ。