(英エコノミスト誌 2022年9月24日号)
イタリアの次のリーダーは政治、市場、資金の制約に縛られる。
世論調査が劇的に間違っていない限り、9月25日のイタリア総選挙で、戦後の同国史上最も右寄りの政権が誕生することになる。
3党連合が全体の60%を超える議席を獲得する見通しで、その一角の極右政党「イタリアの同胞(FDI)」が連立の軸となり、党首のジョルジャ・メローニ氏が首相になると見込まれている。
この見通しにリベラル派は恐れおののいている。
FDIはネオ・ファシズムにルーツを持つ。メローニ氏は演説で不法移民や「WOKE(左翼正義)イデオロギー」を執拗に攻撃している。
今年は米国の保守派に向かって「私たち全体のアイデンティティーが攻撃にさらされている」と呼びかけ、民族の「入れ替え」に欧州連合(EU)が関与していると非難した。
ハンガリーのポピュリストであるオルバン・ビクトル首相のことを擁護し、敬愛している。
欧州政治の変化の波頭
折しもスウェーデンでは、先日の総選挙で反移民を掲げるスウェーデン民主党が第2党に躍進し、次の政権で発言力を手にする公算が大きい。
メローニ氏が首相になれば、これに続く出来事になる。
またフランスでは4月の大統領選挙で、極右のマリーヌ・ルペン氏が現職のエマニュエル・マクロン氏を相手に41%の票を獲得している。
これらはすべて、欧州政治のバランスが極右ナショナリストの方へ大きく傾いたことの現れだ。
既存政党の失敗続きにうんざりした有権者が、実力を試されたことのない政党の支持に回っている。
懸念を覚えているのはリベラル派だけではない。