中華民国の偉大な復興
習氏は中国という国家も再興したいと考えている。
2018年には習氏の思想が新たに披露され、外交官が従うべき10の原則が導入された。
第1の原則は党の権威を維持すること。第2の原則は「中華民国の偉大な復興を実現すること」だ。
毛沢東が中国を統一し、鄧小平がその発展に寄与したのに対し、習近平氏は中国を再び偉大な国にするのは自分だと信じている。
西側は衰退の過程にあり、世界は「100年に1度の大変革」を経験している、と述べている。
このフレーズは、中国が列強にねじ伏せられていた清朝末期を念頭に置いたものだ。習氏はその時の構図をひっくり返した。
世界情勢について大国が大きな発言力を求めることは、特に奇妙な話ではない。
だが中国の現政権は、今日の世界の秩序は西側が押しつけたものだと見なしており、そのルールを書き換えたいと思っている。
習氏は昨年、共産党の結党100周年に際し、「外国勢力が我々をいじめたり、迫害したり、奴隷にしたりするといったことを中国人民は決して許さない」と言い切り、「血迷ってそんなことを試みる者は誰であろうと、14億人を超える中国人民の血と肉で築いた鋼鉄の長城に頭をぶつけ、血を流すことになるだろう」と付け加えた。
興奮しやすい中国ナショナリスト
習氏を尊び、中国に批判的な外国人をあしざまに言うナショナリストたちにとっては、耳に心地よく響く言葉だ。彼らの多くは、西側は人種差別主義者で自己中心的だと信じている。
また彼らは傲慢、猜疑心、不満を併せ持っており、興奮しやすくなっている。
今年8月に米連邦議会のナンシー・ペロシ下院議長が台湾を訪問した際には、議長の乗った飛行機を撃ち落としてしまえと声を上げた。
ウクライナ侵攻については、米国と拡大中の北大西洋条約機構(NATO)がロシアを挑発して攻め込ませたと考えている。
習氏自身、西側への挑戦の一環としてウクライナ侵攻を暗に支持している。
今日の中国の姿を見て、西側の一部外交官は1920年代から1930年代にかけての日本を思い出している。