(英エコノミスト誌 2022年10月1日号)
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共産党の高圧的な支配体制を再興するプロジェクトは、中国と世界に悪影響をもたらす。
習近平氏が1985年に米アイオワ州を訪れたのは、31歳の時だった。
当時、中国共産党の若手幹部だった習氏は、飼料について学ぶ2週間の視察に参加した。訪問を受け入れた人々は習氏のことを気に入り、習氏も彼らが気に入った。
旅のハイライトはマスカティンという小さな町での2泊3日のホームステイだった。夜は「スター・トレック」や「スター・ウォーズ」のポスターが貼られた部屋で眠った。
ポップコーンも初めて口にした。誰に聞いても、習氏はアイオワを大いに気に入ったようだった。
共産党大会で前代未聞の3期目へ
このように脚色された話のために、2012年に習氏が中国のリーダーになった時、多くの観測筋が先行きを楽観した。
習氏の父は革命の先駆者の一人で、のちに省のトップとして経済の改革開放を支持した。習近平氏は「太子」、すなわち共産党の高級幹部の子として育てられた。
一部には、同氏が父親の実利的なスタンスを踏襲すると見る向きもあった。だが、実際には異なる道を選んでいる。
改革者どころか、習近平氏は自分自身を再興者だと考えている。
中国共産党と社会における党の中心的な役割を、そして中国という国家と世界におけるその役割を昔のように強く大きくしようというわけだ。
すでに、毛沢東以降のどの指導者よりも大きな権力を掌握し、容赦なく行使している。習氏の権力が強まるにつれ、中国の野心も大きくなった。
今月16日に開幕する5年に1度の共産党大会で、習氏が最高指導者としての3期目続投を決めることはほぼ確実で、終身指導者になる可能性もある。
習氏の素性や信条を理解することが、かつてないほど重要になっている。