リーダーシップの要素は2つに大別できる

 一国のリーダーの決断により世界で多くの人々の命や生活が脅かされる時代であることを実感します。国家のレベルではなく企業においても、経営トップのリーダーシップによって企業の浮沈が左右されるのは言うまでもありません。兎にも角にも、リーダーの資質や人格について、考えさせられることが多い昨今です。

 リーダーについて論じた書物は数え切れません。ただ、「リーダーに必要な要素」については、さまざまな切り口や考え方はあるものの概ね共通しています。

 組織やチームのパフォーマンスを最大化するためにはメンバーとの綿密なやりとりが不可欠であり、コミュニケーションスキルはもちろんのこと、統率力、行動力、洞察力、決断力、指導力、育成力、責任感が必要だとされます。

 それ以外にも、誠実さ、寛容さ、優しさ、人心掌握術などもメンバーとの信頼関係を築くために重要だとうたわれます。いやいや、それだけでは不十分で、スピード感、柔軟性、ストレス耐性、ユーモアも大事だと主張する人もいるかもしれません。

 どれも持っているべき資質だと納得しますが、これらを満遍なく備えている完全無欠な人は存在するのでしょうか。それは神の領域なのではないかとさえ思います。古今東西の優れたリーダーと評価される人物でも、どこか欠けている部分があって、それだからこそ人間臭い魅力があるのでしょう。

 先ほど列挙した要素を整理してみると大きく2つに分類できます。1つは統率力、行動力、決断力など「業務遂行や課題解決」関連です。もう1つは育成力、人心掌握術など「人間関係や環境整備」関連です。これを体系的に捉えた分かりやすい理論があります。

 7年間の人事部長時代を含め、私はテレビ朝日でリーダーシップやマネジメントについて人材教育業者の研修を受けたり、人事部主催で社内の管理職向けに研修を開催したりしましたが、だいたいが「PM理論」に基づくものでした。