危険運転への訴因変更を求めて署名活動

「過失運転致死罪」での起訴に納得できなかった遺族は、8月14日(日)、大分市内で緊急の記者会見を開きました。それをきっかけに、新聞やテレビが一斉にこの事故を報じ始め、現在、ネット上でも大きな反響を呼んでいます。

 アップされている意見の多くは、「何のために法定速度があるのか?」「まっすぐに走れても、危険を回避できなければ意味がない」「右折車から見れば、194キロの猛スピードで迫ってくる対向車を予見することは不可能」といった内容が大半で、一般道における「時速194キロ」に対する大分地検の判断と一般市民の感覚には、大きな乖離があることを実感させられます。

事故で亡くなった小柳憲さん(遺族提供)

 9月上旬、小柳さんの遺族は刑事裁判の初公判を前に、署名活動を開始し、大分地検に対して「危険運転致死罪」への訴因変更を求めています。

『一般道で時速194キロは「過失」ですか?』と題した署名用紙(https://www.mika-y.com/signature/signature.pdf)には、次のように記されています。

<元少年は、乗り始めたばかりのドイツ製の車が「何キロまで出るのか試したかった」、「以前にも猛スピードを出したことがある」と述べています。現場にはブレーキ痕が無く、被害車両はノーブレーキで衝突されて大破しています。ところが貴庁は、加害者が時速60キロの法定速度の3倍を超える高速度を出していても「まっすぐに走っていたから車を制御できていた。『危険運転』には当たらない」と説明されました。

 しかし、私たち遺族は、身勝手な動機によって法を無視し、挙句の果てに引き起こされた本件のような死亡事故が、「過失」、すなわち不注意によるものとして裁かれるのはおかしいと思えてなりません。どうか必要な補充捜査をしていただいた上で、起訴罪名を危険運転致死罪に変えてくださるよう、お願い申し上げます。>

 2022年9月18日(日)、19日(祝)には、小柳さんの遺族や友人、地元の被害者支援グループ、危険運転で我が子を失った交通事故遺族らによる街頭署名も予定されています。いずれの日も10時から17時まで、大分駅北口側(セントポルタアーケード前)と祝祭広場前の歩道にて行われる予定です。

 小柳さんの遺族は語ります。

「時速194キロでの走行が『過失』であるという判例を残さないためにも、刑事裁判では『危険運転致死罪』の可能性についても検討していただきたいと思っています。そして、今後この問題を広く世間に訴えながら、法律の専門家の方々にも意見を求めていく予定です。皆さんにもぜひ一緒に考えていただければと思います」