政治的分断はMZ世代の恋愛事情も左右

 韓国では、これまでも10年ごとに政権が保革で入れ替わってきた。しかし、左派による長期政権を目指していた文在寅前大統領は、「積弊の清算」を唱え、保守政権に関わってきた人を糾弾するようになって以降、保革の対立はかつてないほど激しいものとなった。

 韓国のデートアプリ「ブラリー(blurry)」は、2020年から、ユーザーが必ず答えなればならない基本情報の項目の一つに「あなたの政治観は?」という質問を追加した。加入者は「進歩的」「中立」「保守的」「関心がない」のうちからどれか一つを選ばなければならない。

 また同じくデートアプリの「チューリップ」は、ユーザーに「主な政治事案に関する傾向はどのようなものか?」という質問をし、「保守に近い」「進歩に近い」「政治に無関心」という三つの選択肢の中から一つを選ばせている。

 恋愛相談サイトには「ボーイフレンドと選挙の話で頻繁に喧嘩する」「政治的傾向があまりにも違うが、結婚すべきか」といった書き込みも多い。

 こうした状況を、ソウル大学心理学科の郭錦珠(クァク・クムジュ)教授は「このごろの青年は政治的事案で互いに衝突した経験が多い反面、葛藤を解消した経験はほとんどない」とし「だから、出会いを始める段階から、政治的傾向の合う相手を探そうとする」と分析している。

 実際、MZ世代の青年は合コンなどで異性と出会うと、メッセージアプリのプロフィルやソーシャルメディアなどで、自分と異なる政治イベントや集会に参加していないかなど、政治的傾向をすぐさま調べるようになっている。

 しかし政治傾向を問う雰囲気が、特定の地域や集団の出身者との出会いを嫌がることにつながるケースもある。ある結婚情報会社の調査によると、未婚男女の57%が「政治傾向が違うなら合コンで会いたくない」と回答したという。10人中7人が「政治的傾向が同じ人と恋愛したい」と回答したケースもある。

 これでは恋愛関係を築ける相手と出会うのは相当に困難だし、ひいては韓国の少子化を強力に後押しする要因にもなりかねない。それほどまでにMZ世代の分断・対立は韓国社会の大問題になりつつあるのである。

 現在の韓国社会の様子を眺めてみると、どうも人々は自身の属さない集団に対する不寛容な姿勢を強めているように見える。

 そうした中で韓国のMZ世代は、自身の利益につながらない事項に関しては一般的に無関心であり、歴史問題に対する関心も高くはないと思われる。

 だがそのMZ世代が、歴史問題を契機に愛国心と反日感情を過剰に抱くようになれば、他集団への不寛容の姿勢が日本への刃へと変わる可能性もある。韓国に芽生えている対決ムードには警戒が必要である。