盛り上がるフェミニズム運動と男性への「逆差別」

 MZ世代の分裂・対立は所得格差によるものだけではない。性別によるものもある。

 2018年以降、韓国の学生たちの間ではフェミニズムが勢力を伸ばしている。これまで学生会と言えば、労働運動や統一運動を行う団体と、学内の福祉問題に集中する団体に2分されていた。しかし、最近では「女権(女性の権利)」と呼ばれるフェミニズム勢力が活発になっているのである。

 高麗大学では、文学部、師範学部、政治経済学部の学生会にそれぞれ「女性主義の定着・活性化」という目的を持ち、学内での性差別・性暴力を防止し、女子学生たちが単位付与や奨学金支給などの面で不当な待遇を受けないよう努力する団体が設立された。

 浦項工科大学、中央大学、延世大学でもフェミニズムに対する関心が高まっている。

 最近のフェミニズム運動の特徴は、その攻撃性だ。女性でない性別を排除し、トランスジェンダーや男性の同性愛を受け入れないフェミニズムは「分離主義フェミニズム」と呼ばれる。

「朝鮮日報」の調査によれば、「フェミニズムに肯定的な関心を持っている」とした回答者のうち、「フェミニズムは第3の性を含む性平等だ」と答えた割合は10人に1人(9.1%)にも達しなかった。これらの人々は「韓国社会におけるジェンダーの矛盾は男性優越主義に端を発するものなので、男性と連帯してはならず、女性が社会で優位を占めるべきだ」と主張する。要するに、トランスジェンダーまで含めた性平等を追求するのではなく、これまでの男性優越主義に対するアンチテーゼとして、女性優越を推し進めようというのが現代韓国のフェミニズムのようなのだ。

 20代・30代が主軸の分離主義フェミニストたちは、「非恋愛・非性関係・非結婚・非出産」を意味する「4B運動」もともに主導している。

 この韓国独自のフェミニズム運動に、男性側からも反発が起こっている。

 ジャーナリストの天管率氏と社会学者チョン・ハンウル氏による著書で、2019年に刊行された『20代男子―〈男性マイノリティ〉自意識の誕生』(時事 In Book)は、208項目のアンケートを通じて20代男子の心理を掘り下げている。それによれば、20代の男性の68.7%は「(女性差別ではなく)男性差別」が深刻だと考えているという。著者らは「20代男性の認識世界において、男性は弱者だ。能力は男性が優れているのに、権力が男性を差別しているからだと考えている」と記している。

 30代男性の社会学者チェ・デソプ氏は、著書『韓国、男子』(イチョウの木)の中で、現在の韓国男性の心理について「自分でつかめないあらゆるものが逆差別だと認識している。その中で自己憐憫と正当性を形成している」と評している。

 このように韓国社会は自身の属する集団に入らない人々に対し不寛容の傾向を強めており、社会的対立はあらゆる側面に広がっている。

 男性優越主義は「時代遅れ」と指摘されてもやむを得ないが、だからと言って女性優越主義が健全な社会の姿とも思えない。この性を巡る主張の違いは、MZ世代の恋愛観まで大きく変え始めている。