それでなくとも5月下旬、東京での日米首脳会談後の記者会見で、バイデン氏は台湾有事の際は米国が軍事関与すると明言した。

 中国はこれに激しく反発。その緊張感がこれまでずっと尾を引いてきた。

 台湾防衛をあいまいにしてきた歴代政権の政策修正と受け止められかねない発言で、今回の会談は、バイデン政権として踏襲していく方針を明確にする狙いもあったもようだ。

 バイデン政権発足以降、米中は双方の言い分をぶちまけ、1月にはサリバン氏と楊潔篪氏とがアラスカで長時間にわたって激論を戦わした経緯がある。

 皮肉なことだが、米中双方はテレビカメラが回っている中で罵詈雑言を浴びせ合い、双方の主張をぶつけ合った結果、相手の基本姿勢を知り尽くしている。

 首脳会談は単に外交だけではない。よって立つ国内基盤が盤石でなければ外交も何もあったものではない。

 翻ってバイデン氏、習近平氏にとっては、秋に向けて微妙な国内政治状況が待ち構えている。

 バイデン氏には、負け戦になりかねない中間選挙が11月6日に控えている。

 上下両院を野党・共和党に奪還されるかもしれない。負ければ、残りの任期2年は完全な「レイムダック」になってしまう。

 一方の習近平氏にとっても、中国共産党総書記の継続を決める5年に一度の全国代表大会が控えている。

 前回の全国代表大会は、2017年10月18日から24日までだった。今回もおそらくこの前後に開かれるはずだ。