今年の大統領選挙は、積極的に投票したい候補者が皆無と言われた。私も投票権はないものの、世間話で大統領には誰がいいかという話が出ると、誰が大統領職を全うできるのか頭を悩ませた。「誰がよいか」ではなく「誰がましか」で選ばざるを得ない選挙だった。
またもや頭をもたげ始めた失言癖
本コラムでも以前書いたが、当初は、尹大統領と熾烈な戦いを繰り広げた李在明(イ・ジェミョン)氏の方がまだよいのかもしれないと思っていた。その理由は、昨年(2021年)の秋あたりから、尹候補者の失言があまりにも目立ったからだ。
選挙期間中、失言癖は一時期封印されていた。私が尹候補を支持するようになったのもその頃だった。だが、ここへきてその欠点がまたもや頭をもたげ始めたのだ。
評論家の陳重権(チン・ジュンクォン)氏は、失言癖は「候補者時代からあった」としながら、「(大統領の)発言には周到な準備が必要で、洗練された表現を用いなければならない」と指摘。それができないから「国民に背を向けられるのだ」と主張している。
そうした大統領が進めようとする日韓関係の改善を、背を向け始めた国民がこれからどれだけ真剣に考えていくだろうか。「尹大統領じゃできないよ」という先入観が、そのうち韓国全土を覆うことになるかもしれない。
口は禍の元というが、外交にとって本質的とは言えない尹大統領の欠点が日韓関係の未来に関わってくるのは何とも複雑な気持ちになってくる。