7月18日、林芳正外相と会談を行った韓国の朴振外交部長(写真:代表撮影/ロイター/アフロ)

 冷え込んだ日韓関係の打開を目指す尹錫悦(ユン・ソンニョル)政権がもがき苦しんでいる。

 7月18日から3日間、韓国の朴振(パク・チン)外交部長官(外相)が訪日した。朴外相は日本に到着した18日の夕方から、日本の林芳正外相と日韓外相会談を行った。日本での日韓外相会談は2019年11月のG20外相会議の時以来となる2年8カ月ぶりの開催で、尹錫悦政権が発足してからは初めての外相会談だ。

 もちろん最大のテーマは、元徴用工問題の解決だ。

韓国政府は外相会談の意義を強調

 会談後、韓国政府は記者ブリーフィングを開き、今回の外相会談の意義をことさらに強調した。

「両国の外相はソウルで一度会っており、バリ島でも会ったことがある。今回が3回目の対面協議だ。今回の外相会談から、両国外相間の“シャトル外交”が本格的に始まるだろう。長時間の会議に続いて晩餐会が開かれ、友好的な雰囲気の中で両外相は虚心坦懐に話し合った。今回の訪日が尹錫悦政権発足後初の公式訪問であり、また二国間訪問としては2017年12月以降初の外相会談という点を強調したい」

 ただ、今回の会談に対する具体的な成果を問う記者たちの質問には、いずれも明確な答えができなかった。たとえば最大の懸案事項である「徴用工賠償判決問題」については、次のような説明に終始した。

「今日、外交部長官が日本を訪問して日本外相と協議したということは、韓国政府がこの問題(徴用工賠償問題)をかなり厳重に認識し、スピード感と緊張感を持って協議しているという傍証だ」

「(朴振長官が林外相に)官民協議会(=徴用工問題解決に向けて韓国で設置された協議体)の主要内容について十分説明した。外交部長官が官民協議会の内容を詳しく説明すること自体に意義がある。日本側は傾聴する雰囲気だった」

「現金化の問題については、長官が何度も“日本企業の資産売却のような『現金化』が行われる前に解決策を探りたい”と強調した。現金化してはならないということについて両国が厳重な認識を共有している」

「韓日当局間の局長級協議も行うが、それに加えて長官間で直接対話をし、信頼を持って厳重な現状認識を共有しながら問題を真剣に取り組んでいくのが趣旨だ」

 会談の意義は大きいとしながらも、どの説明でも具体的な成果については語られなかった。