そのことが報じられたときは、韓国でも「いくら何でもそれはやりすぎではないか」という文政権に対する批判的な声が聞こえた。ところがそれからほどなくして日本が韓国を「ホワイト国」(輸出管理上の優遇措置を受けられる国)から除外すると、「ノージャパン」キャンペーンと称する日本製品不買運動が韓国全土に広まった。

 つまり、慰安婦財団の解散からひと月の間に、日韓両国の国民感情は悪化の一途をたどったのだ。それを受けてか、日韓首脳会談は2019年12月に日中韓首脳会談の折に行われたのが最後である。

韓国社会を取りまとめていけるのか

 韓国社会は、文政権末期以降、いつ日韓首脳会談が行われるのかについて興味津々であった。日韓両首脳が出席する会議などがあると、報道番組などではことあるごとに首脳会談の有無に焦点があてられたが、空騒ぎで終わっていた。

 尹錫悦大統領は大統領選挙戦のころから硬直し切った日韓関係を融和させることを掲げ、それを今、実行に移そうとしている。

 さらに、この2年半ものあいだコロナ禍で海外に行けなかった韓国人の間で、日本に旅行したいという気持ちが高まっている。