(写真:ロイター/アフロ)

 急激な円安とウクライナ危機による物価高が家計を直撃している。それなのに年金支給額は引き下げられるし、外国では上昇するのが当たり前の給与が、日本ではもう何十年間も足踏み状態を続けている。

 明らかに日本経済はいま大きな軋みを上げている。そしてもっともしわ寄せを食らわされるのは庶民だ。

 なぜこんな事態になってしまったのか。どうすれば日本経済は好転するのか――そうした疑問に答えてくれる新書が、このほど刊行された。

 タイトルは『2050 日本再生への25のTODOリスト』(講談社+α新書)。著者は法政大学の小黒一正教授で、行政と学会を横断し、政界や財界とも対話しながら、これまで数々の政策立案にも関わり地道な改革を訴えてきた人物だ。

 本書は、ゼロ成長から抜け出せなくなった日本経済をこの泥沼から脱却させる処方箋が細かく提示された内容となっている。

当たり前の改革を普通にできない日本

 小黒氏のメッセージは明確だ。

「痛みの伴う改革を幅広く、より小さくして国民で分かち合うことで、沈没してゆく日本を成長軌道に戻したい」

 もう「経済成長」とは縁遠くなってしまった日本を、その舞台に引き上げようというのだ。

 現在の日本を覆っている停滞感を払しょくするために、小黒氏は本書で改革の全体像を示しつつ、個別具体的な改革を25の「TODOリスト」に集約している。

 その提案を一言でまとめれば「科学的知見に基づき、スケジュール感を持って改革に着手しよう」ということだ。