〈男性の場合〉
・肉好き
・野菜嫌い
・多飲酒
・飲酒後の下痢や軟便
・喫煙の習慣
〈女性の場合〉
・甘いもの好き(とくに生クリームやチーズの多いケーキ類などの洋菓子)
・便秘や便秘気味
・(最近の傾向として)飲酒や喫煙の習慣
このうち、なぜ「肉好き」「野菜嫌い」「甘いもの好き」などの食生活が悪い食生活に該当するのかを一言で言えば、このような食生活が前がん状態にあたる慢性炎症状態を引き起こし、かつ、発生したがん細胞の好む体内環境を作り出してしまうからです。
また、飲酒、とりわけ多飲酒については、恒常的な多飲酒者に血管(動脈系)内皮のプラークの原因となる高脂血症が顕著に認められます。そして、多飲酒者の多くが慢性的な下痢や軟便を訴え、中には「振り返ってみれば、この十数年、硬い便が出た記憶はほとんどない」とまで言う多飲酒者もいます。
実は、最近、腸内細菌叢、いわゆる腸内フローラが乱れるとがんにかかりやすくなるという、注目すべき知見が数多く報告されています。つまり、女性の便秘や便秘気味も含めて、便通の不調は腸内細菌叢の乱れに起因しているのです。
さらに、喫煙については、このような悪い食生活に喫煙の習慣が重なることで発がんのリスクがいっそう増すため、と考えればいいでしょう。
実は、2014年3月、私は一般社団法人「日本がんと炎症・代謝研究会」を設立しました。私が代表理事を務める同研究会では定期的な学術集会や講演会などを開催していますが、同研究会も含めたこれまでの研究でも「がんは悪い食生活に起因する慢性炎症を引き金とする代謝異常である」とされているのです。
言うまでもなく、ヒトの体は食事によって作られます。したがって、悪い食生活ががん発生の根本原因であることは、当然と言えば当然の話なのです。