様々な魚種が並ぶ鮮魚店。スーパーでは食べやすく、料理しやすい魚ばかりが並んでいる(写真:ロイター/アフロ)

(片桐新之介:地方創生コンサルタント、第6次産業化コンサルタント)

 にわかに注目を集める「食品ロス」だが、多くの人の関心は「野菜」の関心が高いように思う。ニュースを見ても、規格外野菜の加工品だとか、畑で捨てられてしまっていた野菜の皮や端切れなどを消費することへの関心が高い。

 一方で、食品ロスは肉でも魚でも発生している。

 肉の場合、あまり人気がない腕肉やもも肉など部位ごとでだぶつくところが発生するため、その肉をソーセージやハム、ハンバーグに加工し、流通させるのが一般的だ。

 畜産では急激に生産を増やすということはほとんどなく、疫病などが大流行しない限り、一定の生産は保たれる。そのため、需要に対してある程度、適切な供給を図ることができる(2年前の新型コロナの拡大では急激に外食産業の需要が減ったため、国産牛肉の行き先がなくなるということは起きた)。

 問題が大きいのは魚の方である。

 魚に関しては、海の中で狙った魚を、ある程度のサイズ感の個体のみ、決まった数だけ漁獲するということがほぼ不可能だ。そのため、多くの「規格外品」「未利用魚」が生まれてしまう。

 こういった魚を活用して商品化し、消費していくという流れはもちろん昔からある。かまぼこに代表される練り物や、干物類などの加工品がそれに該当する。ただ、日本の水産業界においては資源減少や収入の減少が止まらず、供給が安定しないという問題がある。

 この大きな原因として「日本人の魚離れ」「食生活の変化」が挙げられる。水産資源の消費スタイルの変化などを交えながら解説したい。

1.日本における「食品ロス」
2.消費者の変化、流通の変化
3.世界的に注目されている「水産資源の枯渇」、日本の水産業の課題
4.日本の漁業はどうなる?養殖業の未来と課題