
大きな取引を成功させた、目標にしていたことを達成した時など、自分へのご褒美として何がいいのか、と考えた時、真っ先に挙がるのが腕時計ではないだろうか。本物の高級腕時計は、コーディネイトを締めるうえでも、自身の品格を上げるうえでも、最高の「自分への投資」になるからだ。そこでお薦めしたいのが、高級時計ブランドがラインナップする、名作というわれるモデルである。それらは長年に渡り愛されてきたものなので、普遍性のあるデザイン、優れた機械を持ち、今後もブランドの顔として存在し続けるものである。そのどれもがシンプルなのだが、そんなベーシックな名作ウォッチこそ最高のステイタスなのである。ただ、それらのモデルは、高級時計であること、高額であること、市場での本数が極端に少ないことなどから、入手困難であるのも確かだ。だからこそ、手に入れたいと思えるのである。そんな名作ウォッチを5本紹介したい。
1. オーデマ ピゲ『ロイヤル オーク』

スポーツウォッチに高級という肩書きを加えた名作
革新的な時計を生み出してきたオーデマ ピゲの中でも、普遍的なデザインで世界中のセレブたちを魅了している『ロイヤル オーク』。世界的な時計デザイナー、ジェラルド・ジェンタによってデザインされ、1972年に発表された。
ラグジュアリーな見た目と耐衝撃性、防水性を兼ね備えた薄型のステンレススティール製スポーツウォッチは、それまでの常識を覆して大きな反響を呼び、現在の人気カテゴリーであるラグジュアリー・スポーツ・ウォッチの元祖となった。
大きな特徴であるオクタゴンベゼルは、潜水士のヘルメットから着想を得たものである。さらにその角に打たれた8つのビスもデザインの一部として採用しているところも、このモデルの革新性をうかがわせる。
さらには文字盤に施されたタペストリー装飾も印象的だ。これは美しいだけではなく、光の反射を抑えるという実用的な効果もあるという。
素晴らしいのは、スーツなどビジネススタイルに合うのはもちろんのこと、Tシャツにデニムというカジュアルな格好にも合わせても違和感がないことだ。世界中のセレブや腕時計愛好家を魅了しているのは、コーディネートのテイストを選ばないデザイン性の高さにあるのかもしれない。
2.ブレゲ『クラシック』

シンプルなドレスウォッチは名門ブレゲを表現した逸品
「時計の歴史を200年早めた男」といわれる天才時計技師、アブラアン-ルイ・ブレゲの名を冠したブランド、ブレゲ。そのコレクションの中で、彼の理想を体現した腕時計といわれているのが1972年に誕生した『クラシック』コレクションだ。
数多くあるブレゲのコレクションの中でも、とくに華美な装飾が施されることがないシンプルさが特徴である。それは複雑な機能が搭載されても同様だ。シンプルなデザインコードを守りながらもブレゲならではの意匠が随所に見られることもあって、「ブレゲらしさ」を求めるのならばこのモデルを選択するのが賢明であろう。
そのデザインコードとは、ギヨシェ彫りを施した文字盤にはブレゲ数字あるいはローマンインデックスが静かに置かれ、さらには品格漂うブレゲ針、ケース側面のコインエッジなどである。
また、美しい炉焼きエナメル文字盤の『クラシック 5177』、インスタント・ジャンプ・タイムゾーン表示を備えた大陸モチーフ文字盤の『マリーン オーラ・ムンディ』、高振動脱進機により超高精度を実現した『クラシック クロノメトリー 7727』、幾何学的パターンが美しいアール・デコ模様のギヨシェ彫りダイヤルなど、多岐に渡る選択肢が用意されているのもうれしい。
3.パテック フィリップ『ノーチラス』

もはや入手困難なラグジュアリースポーツウォッチ
最高峰と謳われる時計ブランド、パテック フィリップの人気モデル『ノーチラス』は、機会があれば手に入れたい腕時計の筆頭かもしれない。なぜなら、ラグジュアリーかつスポーティなこともあり、日常使いでの汎用性が非常に高い。さらにいえば、人気が高いゆえ、かなり入手困難なモデルでもある。ただ、手に入り難いものは欲しくなるものだ。
そんな『ノーチラス』が誕生したのは1976年のこと。「ウェットスーツにもタキシードにもマッチする時計」をコンセプトに、パテック フィリップ初のスポーツウォッチとしての登場であった。ノーチラスという名は、フランスの小説家ジュール・ヴェルヌによるSF小説『神秘の島』などに登場する潜水艦『ノーチラス号』に由来する。
このモデルの大きな特徴のひとつが八角形(オクタゴン型)のケースである。それもシャープなデザインではなく丸みを帯びており、その形状は『ノーチラス号』の船窓をイメージしたものとされている。また文字盤に入った横縞のエンボス加工も印象的だ。
さらにはケースの左右に「耳」が付いているも特徴だが、これは単なるデザインではなく2ピース構造を組み合わせる部分を固定させ、薄型にして防水性を高めるという大きな役割も果たしている。
シンプルで印象的な構成とポリッシュ&ヘアラインで磨かれた立体感のある造形の『ノーチラス』は、腕にあるだけで気分が高揚する一本である。
4.ヴァシュロン・コンスタンタン『オーヴァーシーズ』

ブランドのシンボルを巧みに取り入れたスポーティウォッチ
創業から一度も途絶えることなく時計製造をおこなってきた時計界最古の老舗ブランド、ヴァシュロン・コンスタンタン。共に世界三大ブランドと呼ばれるパテック フィリップやオーデマ ピゲ同様、ラグジュアリースポーツウォッチをラインナップしている。それが『オーヴァーシーズ』である。
その誕生は1996年。創立222周年に発表された『222』をオリジナルとして登場し、瞬く間にその名を轟かせた。現在ではラグジュアリースポーツ人気もあり、ブランドのフラッグシップモデルとして人気を博している。
ラグジュアリーな腕時計だが、優れた防水性と耐磁性をといったスポーツウォッチならではのスペックを備えていることから、必要以上に腕元に神経質になることなく使用することができる。デザイン的にはブランドのアイデンティティーともいえるマルタ十字を携えたフォルムが印象的である。
もちろん人気コレクションだけに、シンプルな3針モデルだけではなく、デイト表記やクロノグラフ、ナイト&デイ表示、2タイムゾーンGMTを備えたデュアルタイムなど、多くのモデルをラインナップしている。
5.ランゲ&ゾーネ『ランゲ1』

格式の高さを感じさせるアシンメトリーなオフセンターダイヤル
ドイツの名門ブランドのフラッグシップモデルが『ランゲ1』だ。歴史的にみると、一時期休眠状態にあったランゲ&ゾーネを復活に導いた、記念すべきコレクションのひとつだ。
格式高い雰囲気を持つアシンメトリーなオフセンターダイヤルに存在感のあるアウトサイズデイト、ドイツ語表記のパワーリザーブインジケーター。これらがバランスよく調和がとれた文字盤が印象的である。
また、ランゲ&ゾーネといえば技術力の高さと内包される機械が美しいのも有名だ。シースルーバックからそれを覗くと、美しいコートドジュネーブの仕上げが施された象徴ともいえる3/4プレート、そこに配されたビス留め式ゴールドシャトンが目に入る。
さらに1/4から覗く内部構造をみると、伝統あるチラネジテンプ、息を呑むほど緻密なエングレービング装飾が施されたてんぷ受けなど、美しく時を刻む様子が堪能できるのだ。
このモデルには、ムーンフェイズやトゥールビヨン、ワールドタイム機能を搭載したタイムゾーンなど多機能モデルも展開されている。素材も各種ゴールドのほか、プラチナモデル、ベゼルにダイヤモンドをあしらったもの、サイズアップした『グランド・ランゲ1』など、バリエーションは多岐に渡るのだが、まずベーシックな『ランゲ1』をオススメしたい。