家での性教育の必要性が高まっているが、どのように対応すればいいか、当惑している親も多い(提供:アフロ)

 多くの保護者にとって、子どもに「性」をどう教えるかは大きな悩みの種だ。ただでさえ抵抗感ある話題なのに、自分自身も教えられた記憶がないため適切な方法がわからず、ますます二の足を踏むことになる。とはいえ、子どもたちの周囲には危うい情報があふれかえっており、ただただ放置しておいていいとも思えない。

 はたして、家庭ではいつ、何を、どう伝えていけばよいのか。『おうち性教育はじめます 一番やさしい!防犯・SEX・命の伝え方』(KADOKAWA)の著者で、高校・大学などで性教育に長年携わってきた村瀬幸浩氏に話を聞いた。(聞き手:河合達郎、フリーライター)

──長年にわたり性教育に携わっていらっしゃいますが、足元の関心やニーズをどう感じていますか。

村瀬幸浩氏(以下、村瀬):性教育へのニーズの高まりは非常に強く感じています。『おうち性教育』も、発行部数が20万部を突破して23万部に達しています。私も性教育に関する書籍を何冊か出していますが、そんなことは今までありませんでした。

AV新法で出演被害には枠組みも中身は野放し

──関心が高まっている背景は何でしょうか。

村瀬:一つはっきりさせておきたいことは、AVや性描写がいっぱいの漫画などを家庭で簡単に見られるようになってしまったということでしょう。特に新型コロナの感染拡大があって、学校で友達と会ったり、放課後に遊びに出かけたりということがしづらくなりました。そういう中で、ネットの世界の性という方に関心が向かうということは、ある意味じゃ必然ですよね。

 AVに関して言えば、出演被害については一定の枠組みをはめて救う方に向かいました。ですが、中身は野放しですよね。

 外国のアダルト動画は、エロチックなものはほとんど制限なく認めていますが、暴力は厳しく禁じています。ノンバイオレンスが前提です。一方で日本の場合は、性器を見せちゃいけないということに一生懸命で今もぼかしていますけど、暴力については野放しでしょ。そういったものが大手を振っているわけで、非常に暴力的なセックスイメージを氾濫させています。