サンクトペテルブルク国際経済フォーラムにオンラインで参加した中国の習近平国家主席の映像(2022年6月17日、写真:新華社/アフロ)

(福島 香織:ジャーナリスト)

 秋の第20回党大会が近づくにつれて党内の習近平 VS.反習近平派が繰り広げる権力闘争が激化してきたようだ。

 この争いでもっとも翻弄されるのが、官僚たち。習近平の代わりに責任を取らされて左遷されたり、失脚させられたりする官僚が続々と出ている。最近も、国家糧食物資儲備(備蓄)局局長の張務鋒が汚職で失脚。また外交部次官で習近平の親ロシア外交を支えてきた楽玉成が国家ラジオテレビ総局副局長に“左遷”されたり、元新疆ウイグル自治区書記で次の党大会では政治局常務委員に出世するとみられていた陳全国が党中央農村工作指導小組副組長に降格させられていたことが判明している。

 習近平はこの10年、反腐敗キャンペーンを猛烈に推し進め、自分の気に入らない官僚を汚職・規律違反などを理由に次々排除してきたことで知られるが、ここにきて、習近平に忠実でお気に入りと言われていた官僚の失脚が相次いだ。これが、習近平にべったりついていくのは危ない、という官僚たちの習近平離反の動きにつながれば、習近平の第3期目継続の野望の大きな障害になるかもしれない。

食糧備蓄政策は失敗、失脚させられた張務鋒

 6月15日、中央規律検査委員会国家監察委員会サイトが国家糧食物資備蓄局長で同局党委員会書記の張務鋒が深刻な規律違反容疑で、目下、中央規律委員会・国家監察委員会で尋問、取り調べを受けていると発表した。同サイトは6月22日までに26人の官僚の汚職問題を発表し、うち張務鋒を含む16人が党中央規律検査委員会の取り調べを受けており、10人が党規律政務処分を受けたとしている。