6月17日、サンクトペテルブルク国際経済フォーラムで習近平がオンライン参加し挨拶したが、このとき「米国の一方的制裁に反対する」といういつものフレーズを口にしなかった。チャイナウォッチャーたちは、これを中国の親ロ外交路線修正へのシグナルと感じている。

次はどの官僚か?

 さて、張務鋒も李金早も廖国勲も陳全国も楽玉成も、習近平の言う通り忠実に職務を全うしただけなのに、失脚させられたり左遷させられたり、あるいは「自殺させられたり」したわけだ。次はどの「習近平のお気に入り官僚」が、習近平の政策の失敗の責任を取らされるのか。

 習近平のゼロコロナ政策を最後まで忠実にやり切ったせいで、上海市を大混乱に陥れた上海市の書記の李強か、あるいは、多くの国の政治的ボイコットにもめげず、徹底的なゼロコロナ政策のもと北京冬季五輪をやり切った北京市書記の蔡奇か。あるいは公安部で唯一習近平が信頼していると言われている公安部書記で公安部特勤局長の王小洪か。

 習近平は公安部内で反習近平派がクーデターを画策しているのではないかと疑い、2019年に公安部組織改革を行った。このとき公安部特勤局(監察局)という公安内部および党内の反習近平派に対する監視強化の部局を新設、王小洪を局長に就けるとともに2021年11月、公安部党委員会書記を公安部長の趙克志から特勤局長の王小洪に挿げ替えた。

 王小洪がもし汚職に問われるとしたら、一番可能性があるのは王小洪が福建省福州市公安局に勤務していた時代で、この時の福州市書記は習近平。陳破空によれば、反習近平派の当面のターゲットは王小洪ではないか、という。

 習近平と王小洪の関係は、かつて習近平から権力の座を奪おうと画策して失敗し、失脚した重慶市の書記の薄熙来と、重慶市公安局長の王立軍の関係に近いそうだ。つまり、双方がお互いの暗い過去の秘密を握りあう一連托生関係。王小洪が失脚すれば、習近平も無事ではいられないかもしれない。薄熙来の失脚も決定的な原因は王立軍の在成都米領事館駆け込み事件だったから、王小洪も習近平の命運を握るキーマン、というわけだ。

 ただ、秋の党大会まではまだ数か月の時間がある。今はあらゆる政策の失敗が党内で問題視され追い詰められて劣勢に見える習近平が、その勢力を盛り返すタイミングは見つかるかもしれない。中央規律検査委委員会書記の趙楽際も、その他政治局常務委員も、汚職・腐敗・スキャンダルの1つや2つはある。そこを反撃されて情勢がひっくりかえることもあるだろう。ロシア・ウクライナ戦争の決着のつき方や、米中関係の行方もおそらく影響するだろう。

 さて、この権力闘争にある程度の見通しがつくまで、一体どれだけの官僚の運命が変転するだろうか。私などはいくら強い権力と富が約束されても中国の官僚だけにはなりたくないと思ってしまう。