(福島 香織:ジャーナリスト)
中国共産党中央弁公庁が5月15日、「新時代離退職幹部の党建設強化に関する意見」という文書を発表した。
党中央弁公庁というのは党中央委員会の事務局みたいなもので、総書記ら最高指導部の秘書役が主な仕事だ。現在の主任の丁薛祥という人物は、頭は悪くなく、演説稿などもうまいのだが、習近平のイエスマンというのがもっぱらの評判だ。丁薛祥率いる中央弁公庁の打ち出したこの「意見」が、なかなか不穏である。
「・・・離退職幹部党員は継続して党の言うことを聞き、党について行くことを確保せよ。・・・監督管理、日常管理を強化し、離退職幹部党員、特に過去に指導的地位についたことのある幹部党員には厳しく関連規律を守るように求め、さらに一歩、党性観念と党の規律意識を増強するように求める。・・・」
この「意見」の内容については、公式に一問一答式の解説があり、「離退職幹部党員の教育管理方面での明確な要求とは?」という質問に対して以下のように回答している。
「・・・離退職幹部、特に指導的地位についたことのある幹部は関連規律を厳格に守ること。党中央の大きな政策方針に妄議(ばかばかしい議論)を行ってはならず、政治的にネガティブな言論を拡散してはならず、違法な社会組織活動に参加してはならず、元職の権威あるいは職務影響力を通じて自己や他人の利益をはかってならない。各種の誤った思潮に断固反対し、享楽主義、贅沢な風潮に断固反対すること。党組織の監督管理の影響力を発揮し、問題の兆しを発見し、それが大衆に悪影響を及ぼしている場合、党委員会機構部門あるいは老幹部の工作機構、党組織の責任者は速やかに警告すること。規律違反者は規則に従って厳格に処理されるものとする」