(福島 香織:ジャーナリスト)
現在、国際社会にとってウクライナ戦争が最も深刻な大事件なので、メディアはしばし新型コロナウイルス感染症やオミクロン株のことを忘れたかのようだが、実は中国では相変わらず厳しいゼロコロナ政策が採られ、吉林省長春、上海など多くの地域で都市封鎖、地域封鎖が続けられている。
3月22日に深圳の都市封鎖が解除されたかと思えば、今度は遼寧省瀋陽市全市の住宅区、農村のロックダウンが始まった。早い話が、いくらゼロコロナ政策を続けていても、オミクロン株の感染拡大は防げていない。
幸い死者数はさほど増加しておらず、中国のゼロコロナ政策は成功している、という当局の姿勢に変化はないが、経済、生活に対する悪影響は深刻で、一体いつまでこうしたゼロコロナ式都市封鎖を続けていくのか、という恨み節がそろそろ隠せなくなっている。
続けていくべきか?党内専門家の間でも議論
ゼロコロナ政策とは中国語で「動態清零」と呼ばれ、感染者が見つかると、その感染者が行動した地域を丸ごと封鎖し、徹底的なPCR検査によって感染が広がっていないと確認されるまで物流や人流を凍結させるやり方だ。
中国は2020年1月に武漢で感染拡大してから、習近平が自ら指揮をとるゼロコロナ政策を、コロナ対策の基本としてきた。このやり方で、2月の北京冬季オリンピック、3月のパラリンピックも強引に成功させたのだった。