(福島 香織:ジャーナリスト)
中国・北京市の書記、蔡奇が6月25日に行われた北京市党代表大会の政治報告で、「今後5年、北京はたゆまず感染コントロールの常態化(ノーマル化)をしっかり行ってゆく」と発言した。だが、蔡奇の「今後5年」発言はネット上でさんざん叩かれ、途中で中国メディアが「今後5年」という言葉を削除する展開になった。
蔡奇の「今後5年」発言の意図はなんだったのか。そして、市民やネットユーザーたちはなぜ「今後5年」にブチ切れたのか。
北京でホームレス急増の原因は?
北京の状況については、女優の郝蕾がSNS「微信(WeChat)」のグループチャットでこんなことをつぶやいていた。
「(自分の住む)マンションの下の大排当(露天のフードコート)で食事をしていると、3人組を見かけた。2人の太った若者はビニール袋をもって隣のテーブルの食べ残しを集めていた。もう1人、おばさんが、店がまだ回収していない飲料のビンを集めていた。
別のやせた60歳近い男性はリュックを背負ってこの通りをうろうろしていたが、(フードコートの)壁際のテーブルの上に水差しが置いてあるのを見ると、やってきて自分のコップに水を移し替え、離れた席にすわり、空の使い捨てプラスチック容器をテーブルの上に置いた。彼は何を待っているのか? 空の容器は、まるで彼のうつろな瞳のようで、絶望に満ちている・・・」
「ここに住んで十数年。この通りで数えきれないほど食事をしてきた。だがこんな悲惨な光景は見たことがない。これが北京か? この繁栄した首都ですらこのような状況であるのなら、小さな地方都市ではどのように生活しているのか。どんな因果応報でこうなったのか。どんな善行をおこなったら、このような味気ないひどい結果を引き受け続けずに済むのか? 仏よ、この憐れな人々を救いたまえ」