(古森 義久:産経新聞ワシントン駐在客員特派員、麗澤大学特別教授)
日本がまた国連安全保障理事会の常任理事国になることを目指すようだ。5月下旬の日米首脳会談で、日本のそんな希望を米国のバイデン大統領が支持すると言明したという。
だが日本のそんな動きが現実となると、必ず障害にぶつかる。日本は現在の憲法下では、国連安保理が実行する平和維持活動などに必須の“集団的自衛権の行使”ができないからだ。
だから万が一日本が常任理事国となれば、自国ができないことを、安保理のリーダーとして他国に指示する立場となる。そんな状態は偽善だとする批判が米国には年来存在するのだ。
集団的自衛権を行使できない日本
5月23日の日米首脳会談後の共同記者会見で、岸田文雄首相は「バイデン大統領が日本の国連安保理の常任理事国入りを支持すると表明した」と誇らしげに発表した。「国連安保理が改革される際」という前提条件がついたとはいえ、岸田政権にとっては大歓迎の「バイデン大統領の支持」だった。今後、外務省が主体となってそのための動きが現実となるのだろう。