フィリピン海で実施された米軍の軍事演習。米空母「カール・ビンソン」や海上自衛隊も参加した(1月22日、米海軍のサイトより)

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 岸田文雄総理大臣は、2021年10月8日に行った所信表明演説で「国家安全保障戦略(NSS)」、防衛大綱、中期防衛力整備計画の3文書を本年内に改定する意向を表明した。

 現NSSは、第2次安倍晋三政権の2013年に「国家安保政策を戦略的・体系的なものとする必要がある」として策定された。

 大綱と中期防はNSSの下位文書で、大綱はおよそ10年間をめどに防衛力のあり方と整備目標を定める。中期防は大綱に基づき、5年ごとの防衛費や装備品の見積もりを示す。

 さて、今回のNSSの改定では敵基地攻撃能力保有の是非が検討の焦点となるとみられているが、本稿では、あえて、NSSの改定において非核三原則の見直しを検討することを提言したい。

 非核三原則とは、核兵器を「持たず、作らず、持ち込ませず」とする、核兵器に関する日本の重要な基本政策である。

 1967年12月、当時の佐藤栄作首相が衆院予算委で表明し、翌年1月の施政方針演説に盛り込んだ。

 その後、日本の「国是」として扱われるようになった。

 非核三原則は、わが国の核政策の一つとして長く掲げられ、民主党政権を含め歴代内閣は同原則を堅持する旨表明している。

 では、なぜ今、非核三原則の見直しが必要なのか。

 1960年の日米安全保障条約(以下、安保条約)改定時に核兵器を搭載した米軍の艦船や航空機が我が国に立ち寄ることを黙認するとしたいわゆる核持ち込み密約が存在するなどの疑惑がたびたび報道され、非核三原則の形骸化が指摘されている。

 新たな外交・防衛政策の基本方針であるNSSを改定する今、「国家のウソ」を断ち切るべきであると考える。

 具体的には、非核三原則の「持ち込ませず」を廃止し、新たに核搭載艦船の領海の通過や寄港が事前協議の対象にならないとの見解を示すべきである。

 また、日本も米国の核兵器の国内配備を検討すべきであると考える。

 以下、上記見直しについて筆者の意見を述べる。