(古森 義久:JFSS顧問、産経新聞ワシントン駐在客員特派員、麗澤大学特別教授)
アフガニスタンの首都カブールの陥落では日本国民の避難がうまくいかなかった。
現地の日本大使館が在留邦人より先に国外に逃避したことも原因だった。
日本国は国外での日本人への危機にどう対応すべきなのか。
この重大課題がまったく未解決のまま残ったのが今回のカブール陥落での結果だった。そこで比較にあげられるのはベトナム戦争の終結時のサイゴン陥落である。
旧南ベトナムの首都だったサイゴンは、現在はホーチミン市と呼ばれるが、1975年4月には数百人の在留日本人を抱えたまま重大危機に迫られた。その時の日本人退避はどうだったのか。
私は当時、サイゴンにいて、その危機を全体験した。日本人避難についてもその渦中にいた。当時の状況を報告して、今回のカブール陥落とくらべてみよう。