映画『トップガン マーヴェリック』のロンドンプレミアで英国王室のウィリアム王子(左)とキャサリン妃(中央)をエスコートしたトム・クルーズ(写真:REX/アフロ)

(絢瀬 結海:エンタテインメントビジネスジャーナリスト)

 トム・クルーズの出世作となった『トップガン』(1986年公開)の36年ぶりの続編が、世界はもちろん、日本でもヒットとなっている。

 5月27日に公開となった『トップガン マーヴェリック』の興行収入は、公開初日から3週目までに累計43億円(興行通信社「全国映画動員ランキング」より)を突破した。早くも50億円が確実となり、60億円も視野に入ってきている。現時点までに公開された2022年の洋画では最高額になることが確実とみられている。

 まず今作のあらすじを見ておこう。

米国海軍のエリート戦闘機パイロットを育成する機関、通称“トップガン”。史上最高の技能を持つパイロットながら型破りな行動が災いし、現場から追われそうになっていたピート・“マーヴェリック”・ミッチェル海軍大佐(トム・クルーズ)は、かつてのライバルだったトム・“アイスマン”・カザンスキー海軍大将(ヴァル・キルマー)の強い要請で、ある難しい作戦に向けて若きエリートパイロット(トップガン)たちの教官を務めることになる。集められた精鋭のなかには、かつての親友のパイロットで訓練中に事故死してしまった“グース”の息子、ブラッドリー・“ルースター”・ブラッドショー(マイルズ・テラー)の名前があった――

 ヒットの源泉となっているのが、トムの行動力だ。主演だけでなく製作に名を連ねるトムは、最新技術を駆使した映像へのこだわり、感動的なストーリー、キャスティング、そしてマーケティング・・・と随所に深く関わっている。

 それらが、今のエンタテインメント作品のヒットのキーワード「胸熱」(むねあつ=胸が熱くなる)をこれでもかというぐらい量産している。

 まず、映像へのこだわり。それが表れているのが戦闘機による空中シーンだ。