「キャー! やめて下さい。お願いですから、そこ、どいて!」

 とメイさんが叫んだ。それが混乱のファーストウエーブだった。

重信出所の現場で聞こえた罵声、悲鳴、懇願

 セカンドウエーブは近くの公園に設定された「記者会見場」で起こった。

 重信を乗せて車が到着するや否や混乱は始まった。罵声、悲鳴、懇願……。カメラマンたちは瞬時も見逃すまいと被写体に喰らいつく。警察官たちがそれを押し留めようとすると、どこかからか汚い言葉が飛んで来た。

「テメーたちが押してんじゃねぇーか!」

 びっくりマークの付く言葉がそこらじゅうから上がった。これが元日本赤軍のトップリーダーが20年ぶりに味わった“娑婆の空気”だった。

カメラマンや記者達の群れに溺れてしまった重信房子(写真:橋本 昇)
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混乱の中、カメラマンたちを掻き分ける重信母子(写真:橋本 昇)
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