爆発的な成長を遂げたラッキンコーヒーですが、ナスダック上場から13カ月後の2020年に上場廃止という思いもよらない展開になりました。急成長の裏で決算報告書の改竄や、店舗での売り上げ水増しを行っていたことが明らかになったためです。

「時価1兆円の「中国版スタバ」があっという間に上場廃止となる中国市場の闇」プレジデントOnline、2020/12/08、https://president.jp/articles/-/41144
「不正会計の新興カフェが米国で破産申請」東洋経済オンライン、2021/02/26、https://toyokeizai.net/articles/-/573592

 しかし、2020年の急転落から約2年を経た2022年5月現在、ラッキンコーヒーは堅実な復活を遂げています。

 2021年の決算報告書から、直近の経営状態を見てみましょう。2021年末の店舗数は約6000店舗、2020年の店舗数約4000店舗から順調に店舗数を伸ばしています。起業以来赤字が続き、2020年には純損失56億元を計上しましたが、2021年には純利益6.8億元と少ないながら黒字転換したようです。

Luckin Coffee Files Audited Financial Statements for Fiscal Year 2021
https://investor.lkcoffee.com/news-releases/news-release-details/luckin-coffee-files-audited-financial-statements-fiscal-year
Luckin Coffee Files Annual Report for Fiscal 2020
https://investor.lkcoffee.com/news-releases/news-release-details/luckin-coffee-files-annual-report-fiscal-2020

ラッキンコーヒー復活の要因

 ラッキンコーヒーが復活した要因として、筆者は3つの点があると分析しています。

(1)顧客との関係性の再構築

 ラッキンコーヒーはアプリによる注文方式や持ち帰り中心の店舗の運営方式などから、“機械的なサービス”という印象を受けていました。そのような印象を覆すために、ラッキンコーヒーは各店舗のSNSコミュニティを作り上げ、ブランドイメージの改善を図っています。店舗ごとのWeChatコミュニティでは、割引情報などの一方向の情報提供だけでなく、消費者との交流も進められています。

 企業コミュニティを運営することによるデジタルマーケティングは「Private traffic」(私域流量)と呼ばれており、ラッキンコーヒーはこのマーケティング手法を着実に実践しているようです。

(2)新メニューの投入

 2つ目の要因は、「コーヒーのミルクティー化」ともいえる商品の“中国化”です。2021年以降新商品の販売が続いていて、より甘く、より飲みやすい商品が多くなっています。特に椰子の果汁を加えた「フレッシュココナッツコーヒー」はミルクティーのような飲み心地の人気商品で、現在の主力商品となっています。2021年には中国ヒット商品にも選ばれました。

人気商品の「フレッシュココナッツコーヒー」(生椰拿铁)