都市部の繁華街やその周辺にはデリヘルの待機所が点在している。写真は新宿・歌舞伎町(写真:AP/アフロ)

「あれ、こんなところでおじさんが働いてる……」

 近年、非正規労働の現場で、しばしば「おじさん」を見かける。しかも、いわゆるホワイトカラーの会社員が、派遣やアルバイトをしているケースが目につくようになった。

 45歳定年制、ジョブ型雇用、そしてコロナ──。中高年男性を取り巻く雇用状況が厳しさを増す中、副業を始めるおじさんたちの、逞しくもどこか悲壮感の漂う姿をリポートする。

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(若月 澪子:フリーライター)

 求人アプリやアルバイトサイトが氾濫する昨今、ちょっと怪しげな仕事でもスマホから簡単に応募ができる。ごく普通の主婦や学生、会社員の女性たちが風俗やパパ活にアクセスできるように、普通のサラリーマンがナイトワークに気軽に取り組める時代だ。

「風俗や水商売なら稼げるかも……」。そう考える人は男女ともに多いが、現実はそうでもない。ただ、好奇心と高報酬を期待し、ナイトワークを副業にするサラリーマンがたまにいる。

 Gさん(55)は、とある地方都市で、プログラマー、システムエンジニアとして500人規模のIT企業に勤める、佐藤二郎似の寡黙なおじさんだ。大学卒業以来、IT関連の会社を渡り歩き、現在の職場は4社目。今の会社ではクラウドサーバーの開発や、サーバーを顧客の企業へ導入する際のコンサルなどを手がけている。

「私の会社では、コロナになる前からリモートワークが導入されていました。出勤するのは月に数回。東京や海外のオフィスとやり取りすることも多く、社内の会話はほとんどZoom(ズーム)かチャットです。だからと言って、人付き合いに飢えているわけではなく、仕事の合間にオンライン上で、同僚と世間話もしています」

 Gさんの年収は800万円だから、地方都市では十分に暮らしていける。そのGさんが、副業としてデリヘルの送迎のドライバーを始めたのは、2年ほど前のことだ。