東京のベイエリアのように、首都圏では分譲マンションが数多く造られたが、今後はその数を減らしていくとみられる(写真:アフロ)

(沖 有人:スタイルアクト代表取締役)

 ロシアによるウクライナ侵攻で、世界的な平和というものは実現し得ないということが明らかになった。

 世界情勢の不透明感は高まり、エネルギー価格の高騰やサプライチェーンは不安定化している。為替も円安が進行しており、日米の金利差を縮めるために、日銀が政策金利を上げるのではないかと憶測が飛んでいる。

 ただ、日銀は長期金利の上昇を抑えるため、指し値オペ(公開市場操作)を実施し、円安を容認している。黒田総裁の任期は残り1年だが、少なくともその間は、金利を抑えようとするのではないだろうか。

 金利が上昇すれば、住宅ローン金利も上がる。そうなれば、当然、不動産市場にも逆風が吹く。これまで史上最低の金利水準だったことが、マンション購入の追い風となっていたからだ。

既に3分の1に縮小した首都圏の新築マンション市場

 金利が1%下がれば、住宅購入者の月々のローン返済額は15%超下がる。つまり、価格が15%値上がりしても、ローン負担は変わらないということだ。逆に金利が1%上がれば、今のマンション価格が15%割高になることを意味する。

 2013年以降、金融緩和で上昇した首都圏のマンション価格は6割以上値上がりしている。金利上昇でこれ以上に購入負担が増えると、買い手が減るだけだ。価格が1割上がると、戸数は1割減るのが通常の分譲マンションマーケットであり、買い手の減少が見込まれる。

 ちなみに、2021年の首都圏の新築マンションの供給戸数は3万3636戸だったが(不動産経済研究所調べ)、2001年は9万8217戸とざっと3倍もあった。既に市場は3分の1に縮小しているのだ。