大規模マンションとして分譲されている東京五輪の選手村(写真:アフロスポーツ)

(沖 有人:スタイルアクト代表取締役)

 首都圏新築マンションの平均価格(2021年)は6260万円となり、バブル期(1990年)の6123万円を超えた(不動産経済研究所のデータ)。価格が高い要因は、何よりも金融緩和の影響が大きい。必要以上に刷られた資金が担保の取れる不動産に流れるのは、金融緩和では毎度のことだ。

 マンションを供給するデベロッパーに流れた潤沢な資金は、用地取得競争に費やされる。マンション用地は好立地で広面積なので稀少性があり、入札で最高値をつけた事業者の手に渡る。土地の仕入れ原価が高い上に、アベノミクス以降、高騰した建築単価もあり、新築マンション価格は未曾有の高値をつけている。

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割安な新築を見つけるための二つの方法

 この価格水準で買える人はそう多くはないが、割安な新築を見つける方法が、実は二つある。

 私たちは、毎月販売開始される新築分譲マンションの資産性を格付けしている。資産性とは、その物件が資産として値下がりしにくく、売却時に含み益を蓄えることができるか、だ。これは過去の類似物件の値上がり状況を材料に判断している。

 この資産性は指標として当てにはなるが、最近は分譲価格が高過ぎるため、高値掴みをしているのではないかという懸念が残る。

 そこで、もう一つの視点として、新築価格の妥当性も公表している。周辺の中古成約事例をベースに、その価格を新築に換算し直すといくらになるか、という視点である。私たちが運営している「住まいサーフィン」では、この適正な新築価格を「沖式新築時価」と呼んでいる。高値掴みしないための価格指標である。

【参考資料】
沖式新築時価(https://www.sumai-surfin.com/price/original-indicators/shinchiku_jika.php)

「住まいサーフィン」では、28万人の会員からマンションの価格表を集めているが、最近、価格表の価格単価が沖式新築時価を大きく上回ることが多くなった。物件によっては3割近く高いものもある。この差額は、そのまま高値掴みの値下がりリスクになる。

 新築価格が適正に近いところで出てくる物件には、明確な特徴が二つある。