韓国・中道野党「国民の党」の安哲秀(アン・チョルス)候補が、保守系最大野党「国民の力」の尹錫悦(ユン・ソクヨル)候補との一本化を投票直前の土壇場で決定した。大統領選挙の投票日は3月9日だが、事前投票が4日から開始されている。そのため、前日の3日が一本化する最終期限とみられていた。
「国民の力」と「国民の党」の一本化案は、2月13日の大統領選挙公示直後、安候補が尹候補に持ち掛けたことから始まった。しかし、尹候補は安候補が提案する一本化案にすぐに応じようとしなかった。それどころか、2月24日には安候補が取材陣からの「一本化の可能性はあるのか」との質問に対し、「尹陣営から何の連絡もなかった」と述べ、一本化の決裂宣言をしたほどであった。
2月27日には、安候補から尹候補宛に交渉決裂通知も出されており、この日の取材にも、「今朝、尹候補側から伝えられた内容について考慮する価値がないと決断を下した」と、決裂の背景を報道陣に説明していた。その後も両候補者間で交渉は進められてきたものの、一向に内容が纏まる気配もなく、動向を見守る専門家や国民からは悲観的な見方が強まっていた。
その間、有力候補者らによる討論会は全4回にわたって開催され、すべての討論会で両者は対立候補者として参加。激しい意見のやり取りがみられた。
このような状況下、一本化の実現を的中させた専門家がどれほどいただろう。実際、筆者も一本化は実現しないものとみていた。