韓国に大勢いるキム・ジョンウン(写真:AP/アフロ)

(田中 美蘭:韓国ライター)

 法的に届け出を出し、名前を改名するということに、皆さんはどのような印象を受けるだろうか。名前は親から与えられたもの、一生付き合っていくものとして、「自身のアイデンティティ」という見方もある。

 ここ韓国では、日本からするとちょっと想像し難いような話ではあるが、改名は決して珍しいことではない。思いのほか気軽に、しかもその件数は若者を中心に増加の一途をたどっているという。

 韓国の若者達はなぜ改名をするのだろうか。

 日本では漢字を当て読みしたような難読な名前や、漫画のキャラクターなどにあやかった名前などを「キラキラネーム」と呼ぶ。キラキラネームは「DQNネーム」とスラングのように呼ばれることもあり、世間の反応は冷ややかで厳しいものが多い。

「キラキラネームをつけるのは親に知性がないことを表しているようなもの」
「子供が進学や就職、結婚など人生の節目、節目で名前のせいで嫌な思いをするのが目に見えるし、気の毒に思う」
「親の自己満足で子供の人生を狂わせている」

 など、ネットを見ても否定的に見られている。

 また、「キラキラネーム」とされる難読で奇抜な名前は、場合によっては有名校への入学や就職の不利になるという声もある。実際に、「キラキラネームを改名した」という体験談も見られる。

 自身の名前で不利益や精神的な苦痛を受けたという訴えが認められれば改名も可能だが、日本の場合、改名には「よほど特別な事情がある」というイメージがつきまとう。法的な手続きが必要という点を鑑みても、まだまだハードルが高い印象だ。

 韓国では、逆にこうした「キラキラネーム」のような名前は日本と比して少ないが、その代わりに、前述のように改名をする若者が多い。その背景には、「名前に不満や不都合があるので」というよりも、「改名することで人生をリセットしたい」という思いが込められているようだ。このあたりは日韓の大きな違いと言える。