4月3日、ウクライナに隣接するポーランド国境の町メディカにたどり着いた女性や子供たち(写真:AP/アフロ)

(作家・ジャーナリスト:青沼 陽一郎)

 ウクライナからの避難民を受け入れる具体的な対応を日本政府が決めたのは、4月1日のことだった。

 これに合わせるように林芳正外相が同日、岸田文雄首相の特使として、政府専用機でポーランドに向けて出発している。ウクライナ避難民の受け入れの協議のためだ。訪問先で林外相はウクライナのクレバ外相と会談。ワルシャワ市内の避難施設を訪問して、避難民の状況や支援ニーズなどを把握したのち、5日に希望する20人のウクライナ避難民と政府専用機で帰国している。

 ロシアがウクライナに侵攻したのは2月24日のことだ。それから1カ月以上が過ぎての日本のこの対応は遅すぎるのではないか。そう言われても、致し方ないはずだ。

ウクライナ戦争は長期化する

 UNHCR(国連難民高等弁務官事務所)によると、ウクライナから国外に避難した人の数は4月2日までに413万人を超え、このうちもっとも多い避難先が林外相の訪問したポーランドで約240万人だった。

「欧州の最貧国」とも呼ばれる隣国のモルドバにも約39万人が避難し、同国への支援そのものが必要ともされる。いずれにせよ、欧州や周辺国の避難民の受け入れも限界に近づきつつある。

 岸田首相から避難民受け入れの支援の在り方などを至急検討するように指示があった、と松野博一官房長官が会見で明らかにしたのが3月15日だった。それから半月が経ってのこの状況だ。避難先の欧州諸国の支援に、これまで難民の受け入れに慎重だった日本が、G7(主要7カ国)としてようやく重い腰をあげたという見方もできる。

 だが、そこにもうひとつ、重要な要素が隠れているはずだ。

 ウクライナにおける戦闘の長期化だ。その視座に立つ対応だ。