退任後の身の安全のためにも次期大統領の支持率引き下げに
もう一つは、文在寅大統領の退任後の安全保障のためのものだと分析する。
「現在、文在寅大統領の関心事は退任後の自身の安全保障だけだ。尹新政権の支持率を落とすことで、共に民主党からの協力が不可欠な状態にしておき、文政権に対する“積弊捜査”を封鎖しようとする狙いがある。
共に民主党が議会多数を占める状況で、尹錫悦新政権が国政運営の動力を得るためには、国民の絶対的な支持が必要だが、実際、大統領執務室移転問題がもつれ始めると、尹次期大統領の支持率は時々刻々と下がり、就任前にすでに50%を切り出した。支持率が50%を下回れば、就任後に目標としていた国政運営にかなりの負担になるだろう」
任期があと1カ月半となった文在寅大統領は現在、監査院の人事権を行使するために必死だし、共に民主党は検察の捜査権を完全に剥奪する法案を国会で押し通すと明らかにしている。これらすべてが、新政権による文在寅政権に対する積弊捜査を防御するためのものだという分析も出ている。
政権を握ったこの5年間、国民を二つに分断した文在寅政権の統治は、最後まで統合を望む国民世論に背を向けるつもりらしい。0.76%差の「惜敗」を言い訳にし大統領選挙の結果に態度で不服を示しつつ、新政権を屈服させることに、持てる力を全集中力させているのだろう。