日本の医療体制はなぜ脆弱だったのか。その背景にあるものと、解決のための処方箋を、自治医科大学附属さいたま医療センターの讃井將満教授が訴える。「改善のために今必要なのは、分野横断的な情報共有、議論、連携です」。連載「実録・新型コロナウイルス集中治療の現場から」の第80回。

 18都道府県に適用されていた「まん延防止等重点措置」が3月21日をもって終了しました。感染者数が下がりきらない中での全面解除は、リバウンドのリスクがあるため今後も注意を必要としますが、一方で、「現状ぐらいの感染状況であれば、社会経済活動を制限しなくても一定程度国民の安全を確保できるようになった」という見方もできます。この“新型コロナへの耐性”は、みなさんの感染予防の習慣化、ワクチンの普及、治療法の進展、病床確保の拡充などによってもたらされたものです。簡便に使用できる経口治療薬が普及すれば、さらに耐性は増し、コロナ以前の暮らしをほぼ取り戻せるのではないかと思います。

 ただし、これをもって、「よかった、よかった」とするだけではまずいでしょう。コロナ禍で学んだ教訓を活かし、炙り出された課題を解決しなければ、ふたたび新たな感染症が出現した時に同じことが繰り返されてしまいます。

 医療体制に関しては、この2年間でデジタル化の遅れ、不十分な検査体制、病床確保の遅れといったさまざまな脆弱性が明らかになりました。喉元過ぎれば熱さを忘れることにならないよう、改善していかなければなりません。