まん延防止期間中も人で賑わう東京・浅草(写真:つのだよしお/アフロ)

(篠原拓也:ニッセイ基礎研究所主席研究員)

感染拡大は頭打ちの新型コロナ

 コロナ禍が始まって、2年以上が経過した。この間、ウイルスは変異を重ね、何回も感染の波を引き起こしてきた。昨年11月以降はオミクロン株のまん延により、各国で新規感染者数が過去最高となるなど、感染が急拡大した。

 一方で、感染しても軽症や無症状の患者が多いなど、重症化率は以前のウイルスよりも低いとされている。こうした傾向から、コロナ禍は新たなステージに入ったとみられている。

 日本でも、1月に襲来した第6波により、1日で10万人を超える新規陽性者を出す日もあったが、陽性者の数に比べ、これまでのところ重症者はそれほど多くなっていない。2月中旬以降、感染拡大は頭打ちとなりつつある。ただし、高齢者に感染の波が達しており、持病を持つ人が重症化して死に至るケースがあるなど、1日の死亡者数はこれまでで最も多くなっている。

 こうした感染状況を受けて、欧米ではコロナ禍はパンデミック(世界的大流行)からエンデミック(風土病)に移行しつつあるとの声が高まっている。イギリス、アイルランド、スペイン、デンマークなどでは、人々の規制を撤廃したり、緩和したりする動きがみられている。また、カナダやフランスでは規制に反対する大規模なデモが起こり、社会経済活動に影響を与えている。

 そこで、本当に新型コロナはエンデミック化しているのか、少し考えてみることにしたい。