「重症化しにくい」とみられるオミクロンだが、1日あたりの死亡者は過去最高を記録している。第6波の重症患者の臨床的特徴、新規感染者数がピークアウトしても依然厳しい医療供給体制の現状を自治医科大学附属さいたま医療センターの讃井將満教授が報告する。連載「実録・新型コロナウイルス集中治療の現場から」の第79回。
オミクロンによる第6波の新規感染者数がようやく減少し始めました。検査陽性率がやや下がり始めたこと(埼玉県)、発熱相談件数が減ってきていること(東京都)からみても、ピークアウトしたと考えてよいと思います。とはいえ、まだまだ楽観できる状況ではありません。新規感染者数は依然高水準ですし、1日あたりの死亡者は過去のどの波よりも多く、2月15日以降全国で連日200人以上の方が亡くなっています。そのような状況にもかかわらず、ワクチンの3回目接種率は13%弱にとどまっています。
では、「オミクロンは重症化しにくい/致死率が低い」とみられていたのに、なぜ多くの方が命を落としているのでしょうか。
高齢者の重症患者が多い第6波
第一にいえるのは、あまりにも波が大きかったということです。これだけ感染者が増えてしまえば、重症化しにくいといっても重症患者は増えてしまいます。オミクロンは肺での感染効率が悪く、いわゆるコロナ肺炎を起こしにくいことがわかっており(第78回参照)、当初はコロナ肺炎の患者は少なかったのですが、最近では少しずつ増えてきています。