一.ロシアとウクライナの戦争の行方を予測する

1.プーチンが当初予定していた目的を達成するのは困難で、ロシアは苦境に陥るだろう。プーチンの今回の目的は、電撃攻撃を通じてウクライナに入り、ウクライナのリーダー層を一新して、親ロ政権を植えつけることだった。そうして徹底的にウクライナ問題を解決し、合わせて(ロシア)国内の危機に転化するのを防ごうとしたのだ。

 しかし、電撃戦は失敗した。ロシアは持久戦に持ちこたえられず、戦争を拡大した代価は高騰している。もし核戦争を発動すれば、世界は徹底的に対立し、かつ(ロシアの)勝算はなくなる。国内外の情勢も(ロシアにとって)日増しに不利になっていくばかりだ。

 たとえロシア軍が、巨大な代価を払ってキエフを占領し、傀儡政権を樹立したとしても、それは(ロシアの)最終的な勝利を意味しない。現在、プーチンの最善の選択は、会談を通じて戦争を終結させる局面に持っていくことだ。それはウクライナに実質的に譲歩することになるが、(ロシアは)戦場で得られないものを交渉のテーブルで得るのは非常に難しい。いずれにしても今回の軍事行動は、不可逆的な過ちとなった。

2.戦争がもしさらに一段とエスカレートすれば、最終的に西側諸国が戦争に関与する可能性を否定できない。戦争を拡大する代価は高騰するが、プーチンの性格と権力をもってすれば、大まかに見て休戦にはしないだろう。ロシアとウクライナの戦争はおそらく広がり、ウクライナの範囲を超えるだろう。ひいては核兵器による攻撃という選択肢も含まれてくる。

 ひとたびそうなれば、米欧も対岸の火事ではいられないので、世界大戦や核戦争まで引き起こすことになる。かくして人類に巨大な災難をもたらし、アメリカとロシアは再度、最終決戦を行う。その際、ロシアの軍事力はNATO(北大西洋条約機構)の軍事力にとても及ばないため、プーチンは敗退し、悲惨なことになるだろう。

3.ロシアの国力が傾く中で、乾坤一擲、最終的に何とかウクライナを占領できたとしても、それも厄介なことになる。その時から(ロシアは)重荷を背負うことになり、じきに重荷に耐えられなくなってくるだろう。

 そうした状況下では、ゼレンスキー(ウクライナ大統領)の生死にかかわらず、ウクライナはおそらく亡命政権を樹立し、ロシアと長期的に対峙する。ロシアは同時に、西側からの制裁と、ウクライナ国内の反乱にも遭遇する。そのため戦線を広げていかざるを得ず、(ロシア)国内の経済状況は持たなくなる。結局、(プーチン政権が)引きずられて倒れることになるのは必然で、それは数年も経たないで起こるだろう。

4.ロシアの政局にはおそらく、変化が起こるだろう。もしくは西側によって瓦解させられるかだ。プーチンの電撃戦は失敗し、ロシアの戦勝の希望は露と消える。西側の制裁は空前の規模に達し、(ロシア)国内の経済と民生は重大な影響を受ける。(ロシアで)反戦と反プーチンのパワーが結集していき、ロシア政局にクーデターが起こる可能性も排除しない。

 ロシア経済はすでに崩壊の危機に瀕しているため、たとえロシアとウクライナの戦争の損失がないとしても、プーチンが支えていくのは困難だ。もしもプーチンが、内乱か政変、もしくは他の原因によって失脚したら、ロシアはさらに西側に対抗していくことはできなくなる。必ずや西側に屈服し、挙句の果てにまた一歩引き裂かれ、ロシアの大国としての地位は終焉することになる。